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福田外交“危険な賭け”…北朝鮮経済制裁を一部解除 (夕刊フジ)
福田康夫政権が対北朝鮮経済制裁の一部解除を決めたことで、政府は圧力重視から対話重視へと大きくかじを切った。北が日本人拉致問題に関する再調査を約束したことなどを「一歩前進」と評価する声もあるが、拉致被害者家族や与野党内からは「なぜ、この程度のことで解除するのか」と不満が飛び交った。「死に体化」が進む福田首相にとって、今回の“弱腰外交”は危険な賭けとなる。
「今まで話し合いにもならなかった。だが、北朝鮮に話し合う姿勢が見えた」
福田首相は13日夜、記者団に胸を張った。
11、12日の両日、北京で開かれた日朝公式協議では、北側は日本人拉致問題の再調査と、日航機「よど号」乗っ取り犯関係者6人の引き渡しに協力することを約束。日本側は、人道物資の搬送目的に限って貨物船「万景峰92」を含む北朝鮮籍船舶の入港禁止を解除するなど経済制裁の一部を解除することを決めた。
町村信孝官房長官は13日午後の会見で、「『拉致問題は解決済み』との従来の立場を変更したもので、一定の前進と評価する」と述べた。
だが、北の「調査」に対する世論の信用はゼロといっていい。2004年、金正日総書記が当時の小泉純一郎首相に「白紙からの再調査」を約束し、拉致被害者の横田めぐみさん=失踪当時(13)=とする遺骨を出してきたが、日本側の鑑定で偽物と判明した。
北朝鮮問題に詳しい早大の重村智計教授は「北はいま、米国によるテロ支援国家指定が解除されない、6カ国協議で示された重油がこない、水害で食糧不足は深刻など危機的状況で、日本にとってはチャンスのはずだ。しかし、今度の日本の決定で米国に『拉致問題は進展した』と誤った印象を与え、指定解除されればなしくずしに制裁が解除される可能性がある。結果、北が潤えば、再調査の結果『やはり解決済み』とされる危険も大きい。日本は北のペースにはまった」と手厳しい。
実際、拉致被害者家族の不満は爆発寸前だ。
横田さんの父・滋さんは13日、「なぜ、それくらいのことで『前進』というのかよく分からない」と不快感を示した。家族会代表の飯塚繁雄さんは同日の会見で、「家族会としては内容に満足していない。全体的にがっかりした気持ち」。事務局長の増元照明さんも「『拉致問題進展』の定義のハードルがずっと下がった。制裁の解除ありき、という永田町の勢力争いのなかで生まれたものではないか」と、不満をぶちまけた。
政府・与党からは、中山恭子首相補佐官が13日、「もう少し国内でいろいろ議論した後で十分だっただろう」と苦言を呈し、安倍晋三前首相は「再調査の結果を見ないで制裁解除を決めたことは評価できない」と切り捨てた。民主党の鳩山由紀夫幹事長も「やや拙速だ」と批判した。
福田政権には後期高齢者医療制度や官僚の“居酒屋タクシー”問題などに批判が集中。時事通信が6−9日に実施した最新の世論調査では、内閣支持率が前月比0.8ポイント減の19.1%に下落した。
自民党中堅議員は「福田政権が内政で浮上できる可能性は皆無。サミットや北朝鮮問題など外交で得点するしかないが、足元を見られて北にあしらわれたら、福田政権の致命傷になる」と話す。綱渡りの政権運営は続く。
[ 2008年6月14日16時59分 ]